/ 危害を加えること、また相互に危害を加え合うことの禁止

危害を加えること、また相互に危害を加え合うことの禁止

アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によると、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言った:「害悪もなく、互いに害し合うこともない。」
イブン・マージャの伝承 - アハマドの伝承 - マーリクの伝承

注釈

このハディースは、法、道徳、他の被造物との付き合いにおける、イスラームのルールを示している。それは、あらゆる種類と形の害を防止することである。害悪は禁じられており、害悪を除去することは義務となる。また、害悪を害悪で除去してはならず、互いに害し合うことは禁じられる。

Hadeeth benefits

  1. 預言者は過不足のない簡潔な言葉を与えられたが、それを示す根拠は沢山存在する。それは彼(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の特性の1つである。
  2. 害悪は除去されるべきことである。
  3. 自分が受けた以上のもので報復することの禁止。
  4. アッラーは、僕たちが自分たちを害するような物事を命じたりはしない。
  5. 禁止を意図した、単なる否定表現。
  6. 言葉、行動、放棄によって、相互に害し合うことは非合法である。
  7. イスラームという宗教は、平安の宗教である。
  8. このハディースは、イスラーム法を成す基礎の1つである。イスラーム法は害悪を認めることはなく、相互の害し合いを否認する。
  9. 「害悪」と「互いに害し合うこと」という訳をあてたアラビア語は、それぞれ「ダラル」と「ディラール」であるが、その間に違いはあるか?
  10. 学者の一部は、「これらは同じ意味だが、単なる強調のために繰り返されているのだ」とするが、通説によれば、違いはある。その場合、解釈の1つとしては、「ダラル」は名詞、「ディラール」は動詞であり、「イスラーム法においては害悪自体が禁じられ、それを正当な理由もなく行動に移すことも禁じられる」というものがある。また別の解釈では、「ダラル」は「自分の利のために他者に害悪を及ぼすこと」であり、「ディラール」は「自分の利もないものにおいて、他者に害悪を及ぼすこと」という説もある。たとえば、自分自身を害さないものを禁じることで、それを禁じられた者が害を受けるような場合である。この説はイブン・アブド・アル=バッルやイブン・アッ=サラーフらの一団によって、支持されている。また別の説では、「ダラル」が「自分を害さない者を害すること」、「ディラール」が「自分を害した者を、非合法な形で害すること」とされる。いずれにせよ、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は害悪と、互いに害し合うことを禁じたのである。